こちらの本の主人公は江戸時代の大店のお坊ちゃん、一太郎は布団から出た日には回りが大騒ぎをするほど体が弱い。しかし彼の周りにはなぜか妖怪が。その妖怪たちは、人間として暮らしてはいるもののなんだかちょっと感覚がズレている。
そのズレ具合が私はとても好き。ただの「変な人」ではなくちゃんと「人間界で一生懸命くらしているけどちょっと人間の常識とは違ってしまう」というズレ具合がたまらなくかわいい。
体の弱い一太郎はお店の跡継ぎゆえ、いつも「体が丈夫になって働けるようになりたい」と思っている。よくこういうストーリだと「体が弱くていじめられる」パターンになることがあるのだけれど、一太郎には「一人息子にはお砂糖より甘い甘い両親」「心配と甘やかしにかけては右に出るもののいない兄やさん」がいる。あまりの甘やかしように、ほっこり。
そんな中ある晩、偶然殺人事件を目撃してしまう一太郎。
ほぼ寝たきりが多い一太郎が殺人事件を解決するには・・・!?
病弱で甘やかされて育ったお金持ちという偏見が180度変わっていって、最後には一太郎と妖怪たちの物語がまだ終わらないといいなと思いながらページをめくることになります。
しかし、このシリーズ15年以上続いているのでご安心を。
だんだんと成長していく一太郎と相変わらずの妖怪たちと一緒に暮らしているような感じで寄り添っていくことのできる物語りです。
おすすめです。
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